2006.12.03

ビリージョエル@東京ドーム

11月30日、東京ドームにビリージョエルのコンサートに行ってきた。
1998年のエルトンジョンとのジョイントという、あり得ないことが現実になった奇跡的なコンサート以来になる。

昔は寝ても覚めてもビリージョエルだったが、今では私もジャズばかり聴くようになってしまった。
その一因には、ビリーの新しいアルバムが出なくなったというのもあったかもしれない。
今回来日するということを知ったときも、えっ何かアルバム出たっけと改めて驚いた。
そんな「過去の人」ビリーなので、客の入りは実は心配をしていた。
当日券も出ており完全に満員ではなかったが、ほとんど埋まっていた。
周りは40歳台以上が多かったのではないか。
ただし私の後ろは20歳前後の女の子の数人組だった。
彼女らは顔つきは日本人と変わらなかったが英語を話していた。

演奏した曲のリストを示す。

IN CONCERT BILLY JOEL 2006 / 2006年11月30日 東京ドーム

1. Prelude / Angry Young Man
ステージのライトが消えている状態でイントロの早弾きが始まり、他の楽器が合流するところでライトがバーンと点いてコンサートは幕を開けた。ステージ上のビリーは遠すぎて豆粒程度にしか見えないが、ステージの両側にモニターがあって実質的にはそちらを観るしかない。アリーナは(前が見えないし)総立ちになったが、スタンド席は(識別できなくても)見えてはいるので、立つ人は居なかった。そもそも客席の年齢層が高いということもある。

2. My Life
わかる人にはわかったMy Lifeのリズム伴奏の中、「さくら」のメロディーを入れて、まさしくMy Lifeのイントロに入っていった。「さくら」のメロディーを入れるのは過去にも1度ならず聴いたことがある。Strangerのイントロでやることが多かったかも。この曲で私は8年間という長い生ビリーから遠ざかっていた期間を取り戻した。

3. Honesty
Honestyは3曲目と、なぜか来るときから予想していた。これを聴きたいと思っていた人は多いはずで、会場内に10,500円の元を取ったという満足感があふれていた。しかしまだ遅れて来る人も居て、聴けなかった人は残念。

4. The Entertainer
少なくとも日本で、アルバムStreetlife Serenadeの曲をやるのは珍しいのでは。このアルバムになるとこの曲を知らない人も多かったかもしれない。私もこの曲をコンサートで聴くのは初めて。

5. Zanzibar
この曲もコンサートでは初めて聴く気がする。ジャズを聴くようになった最近の私にとってはトランペットのソロなども全く普通に受け入れることができ、これからはこの路線で進んでくれるとうれしいと本気で思いました。

6. New York State Of Mind
最後のState OfとさらにMindを引っ張るところはお約束通り。

7. Allentown
この曲も前半の定番。こぶし突き上げ系のノリの良い曲なんだけど、同じこぶしでも労働組合が資本家に向かってこぶしを突き上げている場面が思い浮かぶようなディープな歌詞なんだよね。この曲の入ったアルバムThe Nylon CurtainはGoodnight Saigonも収録されており、社会派なメッセージが目立つ。

8. Don't Ask Me Why
この曲はなんか間が抜けているような感じがして、できれば他の曲を聴きたいという感じです。

9. The Stranger
後ろの女が、曲が終わった後にならともかく、曲の最中にフォーという奇声を発するので辟易していた。手拍子もせず黙って静かに聴くようなこの曲の口笛の辺りで発するようなら(英語だけど)文句を言ってやろうと思っていたが、さすがにそこまでひどくはなかった。しかしこの後も疲れてきたか回数は減ったが、奇声は続いた。

10. Just The Way You Are
超メジャーな曲だが、コンサートでは聴いたことがないかもしれない。キターッという感じの歓声が上がった。なんでやらないんだろう。

11. Movin' Out
この曲は別にどうってことない曲だったと思うが、同名のミュージカルが上演されて一挙に知名度が上がったのだと思う。会場もワーッと来ていた。だがコンサートで聴くのは初めてだと思う。The Stranger, Just The Way You Are, Movin' OutとアルバムThe Strangerからの連続3曲が前半の山場か。

12. An Innocent Man
ビリーの指パッチンが、本当に人間の指かと思うほどきれいな音色を奏でていた。何とここまでより前の全ての曲がアルバムThe Nylon Curtain以前の曲で、この曲も次のアルバムAn Innocent Manに収められている曲である。アルバムAn Innocent Manは1983年だから全てが懐メロと言っても良い。今回のコンサートはアルバムツアーではないので、どういう選曲になるのかと思っていたが、やはり古い曲が中心の選曲であった。アルバムAn Innocent Man以降が私にとってのリアルタイムに当たるのだが、The Bridge以降で今日の曲目に入りそうなのは、せいぜいWe Didn't Start The Fireぐらいしか思い浮かばなかった。

13. Miami 2017
この曲だけは聴いているときに曲名が思い出せなかった。帰ってきて(と言っても3日後だけど)、昔買った「ビリー・ジョエル詩集」を開いて、CDを聴いてようやくわかった。アルバムTurnstilesの曲だけど古さを感じない曲だったので探すのに手間取ってしまったよ。それにしても渋いところやるねえ。今回のコンサートではThe EntertainerとこのMiami 2017がシブさの双璧です。

14. She's Always A Woman
これまた渋いところ。アルバムThe Strangerからはこれもあったか。静かな聴かせる曲を入れて、そろそろたたみ掛けるようなロックンロール大会が始まるはずだ。曲数は数えてきたので、20曲とするとあと6曲だ。

15. I Go To Extremes
この曲はアルバムStorm Frontの曲だから新しいが、新定番と言ってもいい曲になる(私自身は始まるまでこの曲のことは忘れていたが)。ラストのお尻でピアノを弾くのも新定番のパフォーマンスと言ってよさそう。スタンド席が立ち上がるとしたら、オーラスのロックンロール大会なのだが、そう説明するわけではないので、人によって感じ方は異なるだろう。私の感覚的には、ここからロックンロール大会の始まりである。だがトイレに行くきっかけを失ってしまった。

16. The River Of Dreams
トイレに行く機会を失ったのだが、この曲ならまあ行こうかという感じで席を立った。1階席の最後列から2列目1番通路側の席だったので、ここまでにもトイレに行く人が頻繁に脇を通っていた。ドームとは言え寒いのだ。

17. 不明
ゲストか何だか知らない人が出てきて、知らない曲を歌い出した。ビリーはギターを持って花道に出てきている。ビリーの曲でないことは明らかだが、前の方は盛り上がっているので、曲としては有名な曲なのだろうか。ウドー音楽事務所のページによれば、AC/DCのHighway To Hellだそうである。何か絶叫しているだけで、全く良くない。ビリーのコンサートでは他人の曲を1曲入れることが定番のようにあったが、そんなことをするぐらいなら、おなじみのレパートリーをやってくれた方がどれほどうれしいかわからない。水を差すとはこのことだ。トイレに近かったので短い時間だったが、この曲の時に席を立つのが正解だった。

18. We Didn't Start The Fire
気を取り直してロックンロール大会の再会だ。他人の曲を1曲挟んで、I Go To Extremes, The River Of Dreams, We Didn't Start The Fireとビリーのレパートリーの中では新しい曲が続いている。私はこの曲はノリノリで大好きなのだが、周りの人は良く知らないといった風に見える。

19. Big Shot
この曲のイントロが始まったときに私は正直残念な気持ちになった。なぜならこの曲は定番のラストナンバーだからだ。19曲目だからラストであってもおかしくはないが、Only The Good Die Youngもやっていないし、You May Be RightもIt's Still Rock And Roll To MeもUptown Girlもやっていないではないか。ロックンロール大会も短過ぎるぞ。ラストのBig shot, Big shotと繰り返すところでは得意のマイクパフォーマンスが出て、これも定番通りのお約束です。

20. It's Still Rock And Roll To Me
しかし終わらなかった。良かった。長いイントロでは会場中がリズムを取る拍手の嵐となった。会場中を興奮のるつぼにする締めのBig Shotで終わらなかったのだから、もう血管もぶち切れんばかりのテンションだった。しかしこの曲をラストにはしにくい。そしてアルバムGrass Housesの曲順とは無関係に、コンサートの曲順としてはIt's Still Rock And Roll To Meが来れば、その次に続くのは「たらちねの」「母」のように、バリーンとガラスが砕け散るのがお約束のはずなのだが。

21. You May Be Right
案の定、ガラスが砕け散るイントロが続いた。会場が一体となってノリノリになったが、スタンド席ではこの最後になっても立ち上がる人はまれであった。定番中の定番ではまだOnly The Good Die Youngをやっていないが、Only The Good Die YoungとPiano Manがアンコールだろうか。

22. Scenes From An Italian Restaurant
You May Be Rightが終わって1度照明が消え、すぐにアンコールを求める拍手の嵐となったが、普通は一息ついてまあ少しばかり客を待たせて、それから出てくると思うのだが、水を飲む暇もなかったのではないかと思うくらいすぐに出てきた。アンコール1曲目。まあアンコールは静かなシブイ曲が良いのかもしれない。この曲は叙事詩な歌詞が好きです。

23. Piano Man
さあ今度こそ本当のオーラスになってしまった。席を立つ人がパラパラ出始めるのだが、この曲を聴かずに帰る人が居るとは信じられない。振り返ると最後尾で立って観ている。ビリーはステージ上で帰ろうかな、ピアノの方に戻ろうかなというジェスチャーをして客を笑わせる。そう、私も最後尾で立っている客もまだ座席に釘付けの客も、ラストナンバーがPiano Manであることはみんな知っている。この曲をやらずには終われないのだ。ハーモニカを首から掛けると大歓声となった。スキヤキ(上を向いて歩こう)のメロディーを入れてからイントロへと入っていった。サビは全部で4回ある。最初の2回はビリーが普通に歌う。3回目ビリーは黙った。が、客は自分たちが歌う番だということにあまり気が付いていなかったようだ。最後の最後、ビリーは耳に手を当てて、客席からの歌声を促すポーズをした。今度は会場中が

Sing us a song, you're the piano man
Sing us a song tonight.
Well, we're all in the mood for a melody,
And you've got us feelin' alright.
と合唱した。とは言ってもそこは日本人。特に後の2行は怪しかった。本当の曲はそこで終わりだ。しかし何時だかのコンサートでは、最後にビリーがもう1回繰り返して、ビリーの歌声の聴き納めができて終わった。だが今回はそれはなかった。この曲をやらずには終われないと書いたが、初めて観た1987年のコンサートではやらなかった。

約2時間、若い頃の自分に返ったと思ったのは決して私だけではあるまい。
帰路もしくは電車の中、公演を観た人たちが感想を述べあっている。
「ビリー太った。」「ビリー頭が薄くなった。」私も同じ印象を受けた。
ビリー57歳。だが歳を取ったのはビリーだけではない。
昔を懐かしんだ我々もである。
しかしビリーの歌声が衰えたと言う人は皆無だった。
ステージ上のビリーは歌声・動き共に衰えているようには見えないが、
新しいアルバムを出す気力・体力はどうなのだろうか。
電車の中である人が言っていた。
「もう隠居したって十分食べていけるだろうに、日本に来てくれるだけでもありがたいよね。」
そうだね。わたしもそう思う。

13曲目Miami 2017が思い出せずに、「ビリー・ジョエル詩集」を開いたと書いた。
すると中から紙が出てきた。
それはこれまでに行ったビリーのコンサートの曲目だった。

紙はなくすかもしれないので備忘録という意味でアップする。

FACE TO FACE / 1998年3月30日 東京ドーム
FACE TO FACE / 1998年3月31日 東京ドーム

この記録は残っていない。
曲目リストはパソコン8年生 AFTER THE BEATLESのページに見つけた。
ただし私は30日と31日の2日間とも観に行っている。

JOURNEY TO THE RIVER OF DREAMS / 1995年1月17日 兵庫県南部地震のため延期
JOURNEY TO THE RIVER OF DREAMS / 1995年1月19日 大阪城ホール

1. No Man's Land
2. Pressure
3. Honesty
4. Prelude / Angry Young Man
5. Allentown
6. Scenes From An Italian Restaurant
7. My Life
8. I Go To Extrremes
9. Shades Of Grey
10. Goodnight Saigon
11. Lullabye
12. The River Of Dreams
13. We Didn't Start The Fire
14. A Hard Days Night
15. It's Still Rock And Roll To Me
16. You May Be Right
17.Only The Good Die Young
18. 不明
19. Piano Man

仕事の関係で大阪に住んでいるときだった。
私は仕事後、そして岐阜の友人が有休を取って一緒に観に行くはずだった。
ところがこの日の朝に兵庫県南部地震が発生した。
友人は先に大阪城ホールに着いて(新幹線は動いていなくて近鉄で来たという)、
2日後19日に延期する(18日は元々公演が予定されていた)との貼り紙を見て帰ってしまった。
もとより電話はつながらない。
私も自分の路線は動いていて、大阪城ホールに着いて貼り紙を見た。
2日後、私は地元なので再度来ることができたが、
友人は2回も有休を取れないとのことで来られなかった。
開演前に、この度の地震被害に対して深い悲しみを覚え寄付をするという趣旨のコメントがあった。
このコメントには通訳が付いていた。
何より会場には5割強しか客が入っていなかった。
ビリーもこの地震に遭っているはずで、
この大阪公演は、ビリーの数ある来日経験の中でも最も記憶に残るものであるに違いない。

BILLY JOEL来日公演 / 1991年1月2日 東京ドーム

1. Storm Front
2. Allentown
3. The Stranger
4. Scenes From An Italian Restaurant
5. Honesty
6. Downeaster "Alexa"
7. Goodnight Saigon
8. I Go To Extremes
9. Pressure
10. My Life
11. Uptown Girl
12. ライオンは起きている
13. An Innocent Man
14. We Didn't Start The Fire
15. It's Still Rock And Roll To Me
16. You May Be Right
17. Only The Good Die Young
18. A Matter Of Trust
19. Big Shot
20. And So It Goes
21. Piano Man

BILLY JOEL来日公演 / 1987年6月18日 国立代々木第一体育館

1. A Matter Of Trust
2. Pressure
3. You're Only Human
4. Honesty
5. The Stranger
6. Allentown
7. My Life
8. Prelude / Angry Young Man
9. Don't Ask Me Why
10. Big Man On Mulberry Street
11. Baby Grand
12. An Innocent Man
13. Longest Time
14. Only The Good Die Young
15. It's Still Rock And Roll To Me
16. Sometimes A Fantasy
17. You May Be Right
18. Uptown Girl
19. Tell Her About It
20. Big Shot

というわけで、
3日前のコンサートから19年半前のコンサートまでを振り返ってしまった。

振り返ってみると今回のコンサートでは、定番でありながらやらなかった曲というのは
以下になると思う。
Only The Good Die Young
Pressure
Uptown Girl
Goodnight Saigon
個人的な意見として定番ではないが聴きたい曲
Sometimes A Fantasy
個人的な意見として1度は聴きたい曲
This Night
The Ballad Of Billy The Kid

次に生ビリーが見られるのはいつのことになるだろうか。
そのとき私は何をやっているだろうか。
この2006年と変わらぬビリー、自分、そして世の中であって欲しい。

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2006.01.30

1/27の停車場

何ヶ月ぶりだろうか久しぶりに停車場に行った。

年が明けたぐらいに久しぶりに行きたいなと思っていて、
ホームページからスケジュールを印刷していた。

27日は仕事が外出になることがわかっていたので前から決めていた。
27日を選んだのにはもうひとつ訳がある。
バンドのメンバーが4人編成だったからである。
せこいかもしれないが、同じ金を払ってみるなら気に入った演奏を見たい。
3人以下が悪いとは言わないが、
やはりホーン+リズムセクションが揃うと演奏の厚みが違う。
しかしギャラの問題からだと思うが、4人編成の日は少ないのである。

9時10分頃着いた。第1セットを演っていた。
後ろの席はたっぷり空いていたが、団体客の予定があるのか
相席で一番前の席になった。アルト奏者の目の前である。
女性のアルトにピアノ,ベース,ドラムス。
曲の途中だったが、知らない曲だと思っていた。
そしたら最後にテーマに戻ったらグルービン・ハイだった。
途中はずっとアドリブ(少なくともアレンジ)だったということだ。
第1セットはこのグルービン・ハイで終わりだった。

9時過ぎに着いたのだから元々第2セットが目当てだ。
アルトは演奏中ずっと目をつむっている。
長い音を吹くときなどたまに目をつむるのは何となくわかるが、
つむりっぱなしというのはどうかなと思った。
目がパチッとしていてお人形さんみたいなかわいい方だったので
なおさら残念に思った。
ピアニストは表情まで演奏の一部という感じで、愛想良く弾いていた。
第2セットは知っている曲はなかった。

今までは1セットをフルに聴いたらそこで帰っていた。
休憩時間は約30分なのだが間が持たないからだ。
しかし今日は第3セットも聴きたくて仕方なかった。
第3セットの3曲目はアルト奏者のオリジナルの曲だそうだ。
この店でメンバーオリジナルの曲を聴いたのは
(少なくともMCがそう説明したのは)初めてだった。
4曲目ラストナンバーは、セント・トーマスだった。
やはり知っている曲はいい。
どこからがテーマでどこからがアドリブかがわかるし、
途中にしてもコード進行やときおり入るテーマフレーズに
うなずきながら聴いていられる。

これで終わりのはずだったが、
お客さんの中に今日で定年退職という人が居て、
ママがもう1曲と言って、リクエストを聞いていた。
リクエストがすっと出てこなかったので、少ししてピアニストが
(メジャーなところで)A列車で行こうのイントロを弾きだした。
途端にリクエストが出て(私は知らない曲だった)、イントロが止み、
A列車で行こうが始まると思っていたアルト,ベース,ドラムス
そして客席はズッコケた。
一番ズッコケたのは多分イントロを弾いていたピアノだ。

アルトも良かったが今日のメンバーではピアノが一番良かった。
第3セット+リクエストが終わったのは23:40頃だった。
1,000円のチップを入れて家路についた。
何にしても4人編成は良い。
来月以降も4人編成で金曜日なら是非行こう。

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2006.01.29

歴史に残る大名盤だ(矢野沙織: PARKER'S MOOD CD評)

PARKER'S MOOD 2005年11月23日発売、矢野沙織の4thアルバムPARKER'S MOODを聴いた。発売翌日に買ったから2ヶ月経つことになる。以来毎日のように聴いているが全く飽きない。素晴らしい。

 初めて聴いたとき、1曲目のI Got Rhythmのその出だしから参ってしまった。実際のライブでもこの曲は第1ステージの1曲目だったという。こちらの体はまだ温まっていないというのに、パワー全開のブローでぶっ飛ばされたという感じだ。

 特に印象深かったのは1曲目の他、6曲目 Bohemia After Darkと7曲目 A Night In Tunisia。この2曲は他の人の演奏で、曲自体を知っていた。知っている曲を聴きたいというミーハーな理由もあるが、決してそれだけではなく、この演奏のどの部分がアレンジなのか区別できるというのもある。知らない曲だと今聴いている演奏をオリジナルとして理解してしまうからだ。体全体でぶつかってくるようなアドリブは何度聴いても気持ちがスキッとする。

 個人的には、アルトにピアノ,ベース,ドラムスと編成も良い。前々作「04」と前作「SAKURA STAMP」では、(私が好きではない)ギターが入っていた。さらに前作ではベースが無くてハモンド・オルガンという楽器まで入っていた。ギターだけでも宙に浮いたような感じがするのに、その上ベースに代わってハモンド・オルガンまで入ってはフワフワして足下がおぼつかない気持ち悪さがあった。その点本作は、ピアノトリオをリズムセクションに迎えたシンプルなカルテットである。

 そのリズムセクションが全体を通して皆好演しているのも見逃せない。矢野のサックスが好調なのもこのリズムセクションによるところが大きいだろう。前々作04では、ドラムスの演奏が今ひとつのように感じたと書いたが、今作のドラムスはジミー・コブ。さすがと言うべきか。そのジミー・コブをして、日本のキャノンボール・アダレイと言わしめた矢野沙織。もう女性・高校生などという話題性、そして場合によっては甘さのエクスキューズとなるような形容詞は必要ない。日本のキャノンボール・アダレイという絶賛フレーズさえ不要な気がする。いまや演奏の各所にパーカーでもキャノンボールでもない、まさに矢野沙織節が感じ取れる。キャッチコピーなし。矢野沙織、ただその名前だけでビッグネームの仲間入りだ。

 このライブが行われた2005年7月25日のニューヨークのジャズクラブSMOKEで、生でこの演奏を聴ければどんなに感動的だっただろうと思う。私の保有するジャズアルバム(100枚程度だが)の中でも、1,2を争うお気に入りに名を連ねるだろう。個人的には歴史に残る大名盤だと言いたいところだが、少なくとも矢野個人の最高傑作になるのではないかと思っている。しかしまだ18歳。これからの人に、これが最高でこれ以上の作品はできまいというのは大変失礼な話である。是非裏切って欲しい。

 またアルバムの本質ではないが、ジャケットの写真も、矢野のあどけなさが出ていて、2005年の18歳の矢野を記録した写真として秀逸だと思う。

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2004.08.07

改修したBUNCA

先日BUNCAに行ったが、改修工事をやっていて入れなかった。
先週行ったら、オープンしていたのだが、貸し切りのライブで入れなかった。
今日は普通に入れた。
しかしどこを改修したのかわからなかった。
店は結構客が居た。
3人組のおばちゃんが、にぎやかにしゃべっていた。
この店に似つかわしくない。
新聞を読んだり、他のことをしていて真剣に聴いていたわけでもないのだが、
選曲がいまいち気に入らなかった。

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2004.07.09

矢野沙織「02」

02若いのになかなかやる。それが第一印象だ。
パーカーの曲を2曲取り上げているだけあって、ビバップ魂を持った演奏である。

最もいいのは、4曲目「RIZLLA」と8曲目「Scrapple From The Apple」だ。
この2曲はテナーが入った2管編成である。
彼女なかなかいけるのだが、あくまでも若い割にということだ。
一人だと心許ない感じがしないこともない。
仕事でも似たようなことはある。
若手に全責任を負わせると、どうしたらいいのか判らず、小さくなってしまう。
しかし先輩が居て、何をやっても最後は先輩が納めてくれると思うと、
思い切って実力を発揮できるのだ。
それが現れているのが、2管のこの2曲だ。
アドリブにも迷いがない。
それも先輩のお膳立てが、ポンと彼女の背中を押しているのだ。

また9曲目「Everything Happens To Me」のようなスローな曲もしっかり聴かせる。
スローな曲を聴かせるのは難しいが、彼女の演奏の歌心は悪くない。
だから取り立てて新しいことをしなくても聴けるのだと思う。
またスローだから冷静に考えるだけの時間もある。

それに対して、6曲目の「Work Song」はいただけない。
「Work Song」と言えば、ナットとキャノンボールの兄弟による演奏が
浮かんでくるのだが、それが浮かんでしまうだけに彼女には分が悪い。
彼らのノリノリの「Work Song」を想像してしまうと、ちょっとガッカリする。
個人的に彼らのような演奏を期待していたからということもある。

「Work Song」のようなファンキーな曲をやるのであれば、
2管あるいは3管編成でやれば、先輩にプッシュされて
本来の実力以上の力を出すのではないか。
是非そうなって欲しい。

他のメンバーについて。
ピアノなかなか良い。矢野をプッシュしている。
ベースまあ普通。
ドラムス全く伝わってこない。存在感なし。
アート・ブレイキーの聴き過ぎかもしれないが、これじゃちょっとね。

多分彼女はパーカーを尊敬しているのだと思う。
パーカーは生涯アドリブ勝負を続けたが、聴く方は疲れるのだ。
彼女には同じアドリブ勝負でもソニー・ロリンズになって欲しい。
歌心はあるので十分になれる素質はあると思う。
「BAGS' GROOVE」のときのロリンズは25歳。
そう考えると、矢野沙織末恐ろしき17歳だ。

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2004.07.07

Open Mind

Open Mind報道ステーションが始まったときに、
オープニングのジャズな曲がいいと書いた。

その後、誰の曲なのかなどということは調べもしなかったが、このブログのアクセス解析のデータを見ると、報道ステーションのオープニングの曲を調べているという感じの検索ワードが多く見られた。
しかし残念ながら、これまでその答えは無かった。

話は変わるが、17歳のジャズサキソフォニストのことを取り上げている番組を見た。
確かAnother Heroという、1時間番組の終わりにやる5分ぐらいの番組だ。
矢野沙織という名前はこの時初めて聞いた。
短い時間だったが、なかなかいい演奏をしていた。
ジャズ的なノリもあるし、オリジナリティも感じられた。
それと私個人として好きなタイプのジャズだった。

そこでCDを見に行った。
彼女には2枚のアルバムがあって、2枚目のアルバム「02」のボーナストラックに
「オープン・マインド(報道ステーションテーマ曲)」とあった。
「あっ彼女なんだ」
他の演奏曲を見るとパーカーの曲が2曲ある。
パーカーより60年以上後に生まれていても、
アルトを持つジャズメンたるものパーカーを意識せずにはいられないということか。
オリジナルの曲も4曲ある。
最後の曲はビリー・ホリデイがテーマだ。
そう言えばAnother Heroでもビリー・ホリデイについて取り上げていた。

しかしアルバム「02」には、厳密な意味では
報道ステーションのテーマ曲は収録されていない。
バージョンが違うのだ。
別に、シングル扱いなのだろうか「Open Mind」というCDがあった。
このCDには、Open Mindが3バージョン入っている。
1曲目がオリジナルテレビバージョン。
2曲目が松永貴志バージョン。
3曲目が矢野沙織バージョン。
松永貴志とは誰であろうか?Open Mindの作曲者である。
オリジナルテレビバージョンは、アルト矢野沙織、ピアノ松永貴志ほか
ベースとドラムスの編成。
矢野沙織のアルバム「02」には、矢野沙織バージョンが収録されているようである。

つまり報道ステーションのオープニングで流れているテーマ曲を
そのまま聞きたいと思ったら、矢野沙織のアルバムを買っただけではダメで、
シングル「Open Mind」を買わないとダメなようである。
矢野沙織のアルバムを買いに行ったわけだが、ここまで来たら買ってしまった。

今日以降「報道ステーション オープニング テーマ曲」のような
キーワードでこのブログを訪ねてこられた方には、
所望の情報が提供できるのではないだろうか。

お役に立ちましたか?この記事。

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2004.05.19

上原ひろみ「Brain」

Brain土曜日(15日)、上原ひろみのニューアルバム「Brain」を買った。
もう1,2回は全体を通して聴いたが、
ながら聴きだったりするので、1曲1曲について
どうこうと言うほどには聴いていない。
しかし全体の感想としては、今回は管楽器は全く入ってないんだってことと、
ピアノを聴かせてくれってこと。
この2つは矛盾しているけれども、自分としてはおかしくない。

ジャズは何もソロパートだけが見せ場ではないと思う。
管楽器の伴奏で聴かせることもあるだろうし、管楽器のソロに触発されて
思わずいい演奏をしてしまうこともあるだろう。
全曲とは言わないが、前作のように管楽器の入る曲があっても良かった。

管楽器が入るということは、その分ピアノが表に出てくる時間が少ないのだが
それは良い。
しかしシンセサイザーみたいな電子音、あれは良くない。
そんなもの弾いていないでピアノを聴かせてくれって感じだ。

ピアノが好きで50年代ジャズを聴き始めた私にとっては、
電子音はどうしても好きになれない。
電子音と言うほどでもないのだが、ギターもエレキは受け付けない。
現在では電子化されていないジャズは存在しないのだろうか。

そうそうそれから、演奏じゃなくって作曲について。
作曲ってしたことないので、本当のことはわからないのだけど、
上原ひろみの作曲って(特に今回のアルバム)、
題名を考えてから、そのイメージに合った曲を作っているって感じ。
そういう作曲もあってもいいけど、題名先にありきだと
そのイメージに制約されちゃうと思うんだよね。
やっぱり初めに曲ありきの方が自由奔放に作れると思う。

包装に11月に日本公演というシールが貼ってあった。
ぜひ見に行きたいものだ。

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2004.04.19

土曜日の停車場

珍しく8:30からのセッションに行った。
着いた途端始まった。今日はピアノトリオ。
ピアノは女性ピアニスト。細い体で力強い演奏だった。
ドラムスもなかなか聞かせる。この前の人と同じだろうか?。
ベースは男性だったが、ピアノとドラムスに比べるといかにも弱い気がした。

帰りにライブスケジュールの紙をもらって、見てみると、
安力川真理(p) Special liveと書いてあった。
何がスペシャルなのかはよく解らないが(有名なピアニスト?)、
全体としてとても素晴らしい満足の行く演奏だった。

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3回目のBUNCA

もう先々週の土曜日のことになってしまったが、近所のジャズ喫茶BUNCAに行った。

客は居ても少ないので、いつも「いつもの席」(=初めて行った時に座った席)に座れてしまう。
6時からメニューが夜用に変わるのだが、この日は6時5分にもなっていないのに、夜用になっていた。
コーヒーは昼メニューでは400円だが夜メニューは600円である。
2回目に行ったときは6時をまたいで居たが、メニューを変えたのは7時過ぎだった。

勘定のときに、マスターがまたテープをくれた。
しかし「今部屋ではテープを聴くことができない。
カーステレオでは聴けるのだが、最近乗らないので、
先日いただいたテープはまだ聴いていない。」と言った。
すると、少し選んでCDを差し出された。
いいのかなと思いつつも、お礼を言っていただいた。

CDはすぐ家で聴いた。
前のテープはその後車に乗ったときに聴いた。
どちらも自分ではほとんど買ったことのないクール系だ。
しかしCDの方(タイトル:ON CAMPUS)は、結構好みの演奏だ。

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2004.03.26

ジャズ喫茶Bunca

先週の金曜日3月19日、近所のジャズ喫茶に初めて入った。
そもそもジャズ喫茶には入りたいと思っていたが、
よく知られている店(オーナーがジャズ評論家)は、滅多に行かない場所で、
仮に行ったとしてもなじみの店にはしにくい。
地元にもあるようなことは以前読んだ本に書いてあった気がするが、
そのときは入る気はなく、その本は人にあげてしまい、また店の場所もわからず、
そのまま放置されていた。
しかし先日、駅のそばをいい喫茶店でもないかと思いながらフラフラしていたら
偶然この店を発見。
これまでも数え切れないほどたくさん通っているところだった。
1階に喫茶店を示す小さな看板を見つけた。
このときは新たな喫茶店を探していたので、どんな喫茶店かと思い、
2階に上がってみたら、入口にジャケットが飾られているではないか。
ここでは道路からは気が付かない。
しかも1階の看板にはジャズのジャの字もない。

初めて入ったので比較のしようがないが、
一面レコードがびっしり、いい音がしている。
真ん中あたりの席に座ろうとしたら、マスターがこっちへと端の席を示した。
そっちの方が音がいいらしい。
夕方だったのでビールを頼んだ。中瓶につまみ付きで600円。
料理と呼べるようなものはない。
カップル、初めてっぽい人、常連らしい人も居る。
カップルを除けば女性は居ない。
同じ近所の喫茶店でも、紅茶専門店のPRINSTONとは正反対だ。

1時間ちょっと居て店を出た。
こういうマニアックな店は、初めてきたお客さんをいかに常連化させるかがポイントだと思う。
というわけで、何か話しかけられるかと思ったが、
無口そうなマスターは黙って棚からテープを渡してくれた。
スタン・ゲッツ,チェット・ベイカーのライブのものだった。
へぇー、こういうやり方もあるのか。
家に着いて、現在自分の部屋ではカセットテープを聞くことができないことを思い出した。
車に乗ったときにカーステレオで聴こう。
1週間後の現在、まだ聴いていない。

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