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2006.01.15

[書評] なぜ「耐震偽装問題」は起きるのか

長嶋 修:なぜ「耐震偽装問題」は起きるのか,講談社,2005

なぜ「耐震偽装問題」は起きるのか 昨年11月に発覚した耐震偽装問題をエサに一稼ぎをしてやろうという本。著者は否定するであろうが、何か世間を騒がす事件・事故が起こるたびに「なぜ○○は起こるのか」といった書名の本が連発されているのだから、またこの手の本かという誹りはまぬがれないであろう(事件の度に著者は異なるであろうが、編集者は同じであろう)。それでも内容があるのなら文句はないが、本書の発行日は12月26日。つまり長くても1ヶ月程度で書いたことになる。今現在でも、これから事件の全容を明らかにしていくという段階なのだから、本書に事件の全容が書かれているわけではもちろんない。現在マンションに住んでいて、この事件の報道を見聞きして不安になっている人を対象に書かれているが、内容は「業界はこうなんです」ということが書かれているだけで、この本を読んだからと言って何か不安や疑問が解決することは全くない。
 そもそも著者は不動産コンサルティングサービスの人間であって、構造設計に詳しいわけではない。私など(構造設計者)から見れば、構造もわからんのに解ったようなコメントするなと言いたくなる。一般人から見れば構造設計者などというのは初めて聞く職業で、ディベロッパーなどと同様に彼らこそが(構造も含めて)建築のプロだと思われている。エンドユーザーに近いところにいる分だけ影響力があるのだ。この関係は学校の生徒と先生の関係に似ている。私なども小中学生の頃は、学校の先生は何でも知っていて、世の中で最も頭の良い人が先生という職業に就くのだと思っていた。実際は全く違う。生徒からは先生の向こうにある世の中は見えないものだ。
 構造設計者から見て、いい指摘しているなと思える文章も幾つかはある。しかしそれは行間を読める人が読んでいるからの話であって、どうでもいい話の山に埋もれた1本の針のようでは一般人がそこに気が付くことはあるまい。
 世間でこの事件が騒がれているうちに、仰々しいタイトルで目をひきつけ売ってしまおうという、予想通りの中身の薄っぺらい本である。私は1時間かからずに読み終わった。暇つぶしにもならない。☆☆
p.s.
 火事場泥棒というか二匹目のドジョウというか、事件・事故報道直後に出されるこの手の本は、中身が薄っぺらいことがわかっているから一般人目線では決して手を出さない。今回は自分の専門分野であるからあえて手にしたまでである。この手の本を買うということは、興味本位の週刊誌と同じで、どうでもよい報道に加担していることになる。

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