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2004.11.17

[書評] 三国志 第1巻

宮城谷 昌光:三国志 第1巻,文藝春秋,2004

三国志 第1巻 宮城谷昌光との出会いはもう10年前になるだろうか?しかしブログに書くのは初めてなので、かなり古い話から書かなければならないと思う。宮城谷作品は図書館で「重耳」を読んだのが最初だった。吉川英治の「三国志」や陳舜臣の「小説十八史略」から始まり、もちろん司馬遷の史記にも食指を伸ばし、人の生き方こそ学ぶべきことがあると、人を描くというスタイルに感動を覚えていた頃だった。重耳を読んだ後、そのころすでに出ていた「天空の舟」(伊尹),「晏子」を買い、宮城谷昌光の世界に虜になってしまい、その後続々と出てきた「孟嘗君」,「楽毅」,「太公望」,「子産」,「管仲」は必ず初版本を買い、「青雲はるかに」(范雎),「奇貨居くべし」(呂不韋)は文庫になってからであったが読んでいる。宮城谷昌光の描く人物は並べて見ての通り、重耳以外は人民の最高位である宰相というべき地位の人ばかりである。そしていずれ劣らぬ名宰相と言われる人物ばかりである。私は第2席である宰相や軍師というポジションに憧れるので、なおさら引きつけられるのかも知れない。その中でも管仲が好きなので、管仲が出る前には書いて欲しいと思っていたが、その作品を読んでしまうと、果たして次は誰が題材となるのかと期待をしていた。
 先日の芥川賞で史上最年少2人の10代の女性が受賞して話題となったときに、作品が収められているということで文藝春秋を手に取ったが、そのときにこの三国志を見つけた。三国志は吉川英治以後、特に最近多くの作家に書かれているようだが、吉川英治を超えるものはないだろうと読んでいない。だから宮城谷昌光もついに三国志に手を出したかという意外な感想を持った。ひとりの人物を描くこれまでの作品から、主役が次々と入れ替わる三国志を宮城谷がどう書くか、これは読まないわけにはいかない。三国志は長いが物語はまだ始まったばかりという感じであったので、単行本として出版されるのは相当先の話だと思っていた。しかしこの度、第1回配本とでもいうのだろうか第3巻までは発売され、当然のごとく発売日に買った。
 前置きが長くなったが、この宮城谷三国志。度肝を抜くのは第1巻に張角も何進も董卓も劉備も曹操も登場しないのである。なんと物語は、いわゆる三国志の時代の約100年前にあたる後漢第4代皇帝和帝の時代から始まり、曹操の祖父曹騰がまだ30代で第1巻が終わる。管仲などと比べると900年近く後世の話なので、著者の想像で描く余地が少なく、宮城谷ワールドが繰り広げられる範囲が少ないのではと思いきや、そんなことは決してない。相変わらずの脱線というか、著者の思い入れのある人物や逸話が登場する。この調子で行くと完結は何年・何巻先だろうか。期待たっぷりの宮城谷三国志の始まりである。☆☆☆

[書評] 三国志 第2巻

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