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2004.10.19

[書評] 素数に憑かれた人たち

ジョン・ダービーシャー:素数に憑かれた人たち,日経BP社,2004

素数に憑かれた人たち 色々な意味で面白い本(interestingでstrange)だ。この本で取り上げられているのは「リーマン予想」という素数の個数を表す一般式につながる予想である。これはリーマン幾何学で知られるリーマンが1859年に発表した予想で、まだ証明されていない。長年に渡って証明されていない問題としては、1637年に生まれの「フェルマーの大定理」が最も有名であったが、1994年に証明された。リーマン予想がフェルマーの大定理と異なるのは、すでに証明が成されたかだけではない。フェルマーの大定理の問題文が非常に簡単であるのに対し、リーマン予想は証明すべき問題の意味さえ、これを専攻している人でなければおよそ理解できないものである。読み終わってなおさら、こんな難しい数学の問題をよく一般向けに解説しようと思ったなと、著者のチャレンジ精神に驚くばかりである。しかしこの本では推理小説の謎解きをするが如く1歩1歩着実に説明していくことにより、リーマン予想引いては素数の個数を表す一般式に迫る。冒頭、どれだけトランプをせり出して積むことができるか、という話から無限級数の説明に入ってしまうところなどは、気が付かないうちに著者の誘いに引き込まれてしまう。そして難しいのに読み始めたら止まらなくなる魅力がある。この本は奇数章が数学の話で、偶数章は主にこの問題に関わった数学者の話という構成になっている。それでいてストーリーとしてつながっているから不思議である。
 いくらやさしく書いてあるとは言え、この本は、高校の数学はそこそこでき、大学でも数学をいくつか取った人を対象にしていると著者は書いている。私はその対象にピッタリであるのだが、最後の方は少し苦しかった。面白いことは保証するが、自分が読めるかどうかを見極めるために、買う前にパラパラと立ち読みすることをお勧めする。☆☆☆☆

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