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2004.10.13

[書評] ローマ人の物語IV ユリウス・カエサル ルビコン以前

塩野 七生:ローマ人の物語IV ユリウス・カエサル ルビコン以前,新潮社,1995

ローマ人の物語IV ユリウス・カエサル ルビコン以前 ポンペイウスがオリエントを平定した紀元前63年までの物語は、すでに前巻「勝者の混迷」に登場している。紀元前63年は、この巻の主人公ガイウス・ユリウス・カエサルが37歳となる年である。しかしこの歳までのカエサルはローマの表舞台に登場していないので、前巻には登場していなかった。一方本巻と次巻は、カエサルに焦点を当てて、カエサルの生まれた紀元前100年から描き直している。この、政治の流れに沿って進める前巻と、人物に焦点を当てて進める本巻は、史記風に言えば本紀と列伝に当たる。本巻は「ユリウス・カエサル列伝」として始まるのだが、もちろん途中(カエサル37歳)からは、まさしく「ローマ本紀」となる。
 本巻の中核を成すガリア戦記は、当人であるカエサルの筆による著作が残っており、またキケロらの手紙が随所に登場するなど、振り返って書かれた歴史ではなくリアルタイムに残された記録が参照できることから、叙述が非常に詳細である。著者は、カエサル著のガリア戦記を参照しカエサルの目の付け所に脱帽しているが、私はその残されたガリア戦記からカエサルの心情を推察する著者の目の付け所に脱帽である。
 著者は女性であり、カエサルほどの英雄を書くとなると、個人的な惚れ込みが表に出てしまって、読者はしらけるという事態にもなりうるが、そこはあくまでも押さえてカエサルを描いているところにも好感が持てる。☆☆☆☆

[書評] ローマ人の物語V ユリウス・カエサル ルビコン以後
[書評] ローマ人の物語III 勝者の混迷

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