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2004.09.02

[書評] 「大東亜」戦争を知っていますか

倉沢 愛子:「大東亜」戦争を知っていますか,講談社,2002

「大東亜」戦争を知っていますか 近代史は学校の授業で習ったようで習っていない気がする。と言うのも、公民の授業は日本国憲法下でのいわゆる現代社会だったし、日本史は縄文時代・弥生時代からスタートするものの、明治維新あたりまでで1年間が終わってしまうからである。
 日本の先の戦争を言い表すのに普通は「太平洋戦争」と言われているが、この呼び名は良くないと思う。この本のように「大東亜戦争」と呼んだ方が本質を言い表していると思う。しかし「大東亜」という言葉が、軍国主義的であるとか戦争を肯定的にとらえているというニュアンスらしく、あまり使われていない。しかしこの言い換えのために、アメリカと戦ったとしか思っていない現在の日本人がどれほど多いことか。実際には真珠湾攻撃と同じ日にマレー半島に上陸しており、3ヶ月以内にマレー半島・シンガポール・フィリピン・インドネシア・ビルマを占領し、またタイやベトナム・ラオス・カンボジアも実質上の支配下に置いた。つまり植民地である。植民地での出来事は基本的に軍人や入植者しか知らない。つまり当時の国民と言えども、自らの暮らす本土が空襲にあったことは知っていても、大東亜で何が起こっていたかはほとんど知らないのである。だから元軍人以外から聞くほとんどの戦争体験談は、日本がひどい目にあった話になってしまうのである。また元軍人だって自分たちのしたことを悪くは言うまい。
 戦争のように、全てが個人の体験に基づく話で構成される場合、その人が嘘を付いていない限り全てが真実なのである。真実は1つではないのだ。真実が1つでないのだから、解釈はさらにそれぞれになる。このような出来事に関して、こう考えるのが正しいよね、などと言ってもらう必要はない。そういう意味で、事実のみを淡々と伝え、良いとか悪いとかは読者に考えさせるような本を読みたかった。この本は主張をしていない。思想的な偏りもない。ただエピソードをたくさん載せて、後は読者が考えることとしている。教科書問題等でとかく話題となる戦争認識だが、認識や解釈を伝えない本を見つけることは難しい。☆☆☆

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