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2004.08.23

[書評] 人はなぜ逃げおくれるのか

広瀬 弘忠:人はなぜ逃げおくれるのか,集英社,2004

人はなぜ逃げおくれるのか 現代の日本人にとって、災害に直面した人間の行動を知る機会となったのは阪神淡路大震災だろう。何か別の災害が報道された直後でもなければ、災害と言って思い浮かぶのは、それだけの場合が多いのではないだろうか。しかし災害は地震災害だけでもなければ、自然災害だけでもない。建物の火災や山での遭難、航空機の墜落なども回避行動を取らなければならない災害である。
 この本では過去の様々な災害の事例が挙げられているが、災害対策ほど過去の事例から学ばなければならないものはないのではないか。この災害事例は興味深く読むことができ、またそれだけに個別の事例についてもっと深く掘り下げて欲しかった。逆に著者の論は、全体としてはあまり新しいことを知ったという感覚は無かった。その中でパニックについては良い考察がされている。1つは、左辺の小さな要因と右辺の大きな被害を釣り合わせるために、スケープゴートとして過剰に用いられることを危惧していること。もう1つは、パニックの発生条件を挙げ、これらが重ならなければパニック起こらないので、パニックを恐れての情報伝達の遅れがあってはならないと、一般に流布しているパニックについての誤った知識を戒めている点である。大勢の人が集まる場所の管理責任者は、肝に銘じておいてもらいたい。☆☆☆

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広瀬弘忠 † 【ひろせ ひろただ】 東京生まれ 1942- ↑『静かな時限爆弾 アスベスト災害』 † (新曜社)1985年11月 新曜社 中国新聞 ↑『人はなぜ逃げおくれるのか 災害の心理学』 † (集英社新書)2004年1月 集英社 きよみね 1 [続きを読む]

受信: 2005.08.16 11:27

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