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2004.08.06

[書評] 歴史の方程式

マーク・ブキャナン:歴史の方程式,早川書房,2003

歴史の方程式 「歴史の方程式」のように科学で解明できないと思われていることを科学の力で明らかにしたと思わせる大言壮語なタイトルの付け方は、ほとんどの場合見かけ倒しで中身が伴っていないが、まあこの本はこのタイトルを背負うだけの内容はある。そしてこのタイトルがふさわしいとも言える。我々は、自分が生きているこの時代は長い歴史の中においても特別な時であると思いたいものである。我々は通常多かれ少なかれ未来を予測をしながら暮らしている。しかしその予測を遙かに超えた出来事が時として起こる。そんなとき我々はこんなことは歴史上初めてで、それはこれまでになかった何か別の原因が引き起こしたものに違いないと思ってしまう。しかしそれを見事に否定してくれるのがこの本である。自然災害の規模,生物の大発生や絶滅,経済の暴騰・暴落,これまでにない死者を出した戦争など、ある事象の規模と頻度の関係はその事象に特有のべき乗則が存在するというのだ。おもしろいのはジャガイモを壁にぶつけて砕いたときに、その破片の重さは、重さが半分になるごとに数が6倍になるというものだ。このようなべき乗則が存在しているということは、相似性が内在しているということである。自己相似性はフラクタル構造の特徴でもある。フラクタル構造は拡大しても縮小してもある意味どこもかしこも均一なのだ。自分が体験した特別なことは、実は特別ではない。少し残念だが、そんな特別なことに出会うほど選ばれた人間ではないと思っておいた方が良いのかもしれない。歴史はそれだけ懐が広いのだ。☆☆☆☆

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