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2004.06.10

[書評] DNA

ジェームス・ワトソン:DNA,講談社,2004

DNA タイトルにDNAという単語が付く本は、これまでにも何冊も読んできた。DNAにまつわる知見・技術は日進月歩であり、また世間での関心も高いことから数多くの図書が出ているが、玉石混交なところもある。しかしこの本の著者は、DNAの二重らせん構造を発見しノーベル賞を受賞した、あの「ワトソンとクリック」のワトソンこと、ジェームス・ワトソンである。この本は1953年のワトソンとクリックの偉業から50周年を記念して企画された。DNA以前のメンデル遺伝学,優生学に始まり、二重らせん構造の発見、バイオテクノロジー、遺伝子組み換え作物、ヒトゲノム計画、人類の起源、DNA鑑定、遺伝子治療、そして生まれと育ちなどについて、DNAにまつわる50年をまとめている。科学の本というより歴史の本と言った方がよいかもしれない。客観的に事実を伝えているが、時にワトソン個人の考え方が示されている。それは、科学者の立場として言わなければならないことは言うが、決して独り善がりの専門バカではなく、常に人間や社会との関わりを考えていることが伝わってくる。ことに社会的論争の多い分野であるので、この視点は極めて重要である。私は所々に現れるワトソンの考え方に非常に共感を覚える。科学に対する誤解のない理解を進める上で、ドーキンスは露骨になってしまったが、この本のワトソンのように控えめな表現でも、その真意は十分に伝わる。ワトソン個人のスタンスは抜きにしても、DNAにまつわるトピックスを一通り押さえられるし、またDNAの歴史物語としてもおもしろい。ぶ厚いが読みやすく、お薦めできる名著である。星の数は名前負けして少し甘い採点になった。☆☆☆☆☆

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