2006.12.26

ガッカリだよ

先週末の新聞で、年末ということで、今年1年の印象の残った本の紹介をやっていた。
各界の著名人?20人ぐらいにそれぞれ3冊程度選出してもらっている。
見たのは朝日新聞と東京新聞である。

何がガッカリなのかというと、その選出されている本。
見ると、私が読んだような本はまるで出てこない。
2紙で40人ぐらいが各3冊ぐらい選んでいるのに、わずかに1冊だけであった。
でも良く見ると本の問題なのではなくて、選出者の人選の問題。

選出者が、作家,歴史家,人文系の大学教授など文系の人間ばかり。
彼らの専門はかなりかぶっているのに、
40人ほど居て、科学技術系は医者が1人ともうひとりだけだった。
概して作家は小説を、文系の人間は文系の本を、理系の人間は理系の本を、
読むし推しているので、理科系の本は全くと言ってよいほど
載っていないのである。

これじゃ、若者に科学の面白さを伝えようだの、技術立国日本だの言ってもダメ。
新聞社自体が科学技術に関心がない連中が揃っていることが良く解る。
もう少しましな(幅広い)人選をしてくれ。ガッカリだよ。

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2006.12.03

ビリージョエル@東京ドーム

11月30日、東京ドームにビリージョエルのコンサートに行ってきた。
1998年のエルトンジョンとのジョイントという、あり得ないことが現実になった奇跡的なコンサート以来になる。

昔は寝ても覚めてもビリージョエルだったが、今では私もジャズばかり聴くようになってしまった。
その一因には、ビリーの新しいアルバムが出なくなったというのもあったかもしれない。
今回来日するということを知ったときも、えっ何かアルバム出たっけと改めて驚いた。
そんな「過去の人」ビリーなので、客の入りは実は心配をしていた。
当日券も出ており完全に満員ではなかったが、ほとんど埋まっていた。
周りは40歳台以上が多かったのではないか。
ただし私の後ろは20歳前後の女の子の数人組だった。
彼女らは顔つきは日本人と変わらなかったが英語を話していた。

演奏した曲のリストを示す。

IN CONCERT BILLY JOEL 2006 / 2006年11月30日 東京ドーム

1. Prelude / Angry Young Man
ステージのライトが消えている状態でイントロの早弾きが始まり、他の楽器が合流するところでライトがバーンと点いてコンサートは幕を開けた。ステージ上のビリーは遠すぎて豆粒程度にしか見えないが、ステージの両側にモニターがあって実質的にはそちらを観るしかない。アリーナは(前が見えないし)総立ちになったが、スタンド席は(識別できなくても)見えてはいるので、立つ人は居なかった。そもそも客席の年齢層が高いということもある。

2. My Life
わかる人にはわかったMy Lifeのリズム伴奏の中、「さくら」のメロディーを入れて、まさしくMy Lifeのイントロに入っていった。「さくら」のメロディーを入れるのは過去にも1度ならず聴いたことがある。Strangerのイントロでやることが多かったかも。この曲で私は8年間という長い生ビリーから遠ざかっていた期間を取り戻した。

3. Honesty
Honestyは3曲目と、なぜか来るときから予想していた。これを聴きたいと思っていた人は多いはずで、会場内に10,500円の元を取ったという満足感があふれていた。しかしまだ遅れて来る人も居て、聴けなかった人は残念。

4. The Entertainer
少なくとも日本で、アルバムStreetlife Serenadeの曲をやるのは珍しいのでは。このアルバムになるとこの曲を知らない人も多かったかもしれない。私もこの曲をコンサートで聴くのは初めて。

5. Zanzibar
この曲もコンサートでは初めて聴く気がする。ジャズを聴くようになった最近の私にとってはトランペットのソロなども全く普通に受け入れることができ、これからはこの路線で進んでくれるとうれしいと本気で思いました。

6. New York State Of Mind
最後のState OfとさらにMindを引っ張るところはお約束通り。

7. Allentown
この曲も前半の定番。こぶし突き上げ系のノリの良い曲なんだけど、同じこぶしでも労働組合が資本家に向かってこぶしを突き上げている場面が思い浮かぶようなディープな歌詞なんだよね。この曲の入ったアルバムThe Nylon CurtainはGoodnight Saigonも収録されており、社会派なメッセージが目立つ。

8. Don't Ask Me Why
この曲はなんか間が抜けているような感じがして、できれば他の曲を聴きたいという感じです。

9. The Stranger
後ろの女が、曲が終わった後にならともかく、曲の最中にフォーという奇声を発するので辟易していた。手拍子もせず黙って静かに聴くようなこの曲の口笛の辺りで発するようなら(英語だけど)文句を言ってやろうと思っていたが、さすがにそこまでひどくはなかった。しかしこの後も疲れてきたか回数は減ったが、奇声は続いた。

10. Just The Way You Are
超メジャーな曲だが、コンサートでは聴いたことがないかもしれない。キターッという感じの歓声が上がった。なんでやらないんだろう。

11. Movin' Out
この曲は別にどうってことない曲だったと思うが、同名のミュージカルが上演されて一挙に知名度が上がったのだと思う。会場もワーッと来ていた。だがコンサートで聴くのは初めてだと思う。The Stranger, Just The Way You Are, Movin' OutとアルバムThe Strangerからの連続3曲が前半の山場か。

12. An Innocent Man
ビリーの指パッチンが、本当に人間の指かと思うほどきれいな音色を奏でていた。何とここまでより前の全ての曲がアルバムThe Nylon Curtain以前の曲で、この曲も次のアルバムAn Innocent Manに収められている曲である。アルバムAn Innocent Manは1983年だから全てが懐メロと言っても良い。今回のコンサートはアルバムツアーではないので、どういう選曲になるのかと思っていたが、やはり古い曲が中心の選曲であった。アルバムAn Innocent Man以降が私にとってのリアルタイムに当たるのだが、The Bridge以降で今日の曲目に入りそうなのは、せいぜいWe Didn't Start The Fireぐらいしか思い浮かばなかった。

13. Miami 2017
この曲だけは聴いているときに曲名が思い出せなかった。帰ってきて(と言っても3日後だけど)、昔買った「ビリー・ジョエル詩集」を開いて、CDを聴いてようやくわかった。アルバムTurnstilesの曲だけど古さを感じない曲だったので探すのに手間取ってしまったよ。それにしても渋いところやるねえ。今回のコンサートではThe EntertainerとこのMiami 2017がシブさの双璧です。

14. She's Always A Woman
これまた渋いところ。アルバムThe Strangerからはこれもあったか。静かな聴かせる曲を入れて、そろそろたたみ掛けるようなロックンロール大会が始まるはずだ。曲数は数えてきたので、20曲とするとあと6曲だ。

15. I Go To Extremes
この曲はアルバムStorm Frontの曲だから新しいが、新定番と言ってもいい曲になる(私自身は始まるまでこの曲のことは忘れていたが)。ラストのお尻でピアノを弾くのも新定番のパフォーマンスと言ってよさそう。スタンド席が立ち上がるとしたら、オーラスのロックンロール大会なのだが、そう説明するわけではないので、人によって感じ方は異なるだろう。私の感覚的には、ここからロックンロール大会の始まりである。だがトイレに行くきっかけを失ってしまった。

16. The River Of Dreams
トイレに行く機会を失ったのだが、この曲ならまあ行こうかという感じで席を立った。1階席の最後列から2列目1番通路側の席だったので、ここまでにもトイレに行く人が頻繁に脇を通っていた。ドームとは言え寒いのだ。

17. 不明
ゲストか何だか知らない人が出てきて、知らない曲を歌い出した。ビリーはギターを持って花道に出てきている。ビリーの曲でないことは明らかだが、前の方は盛り上がっているので、曲としては有名な曲なのだろうか。ウドー音楽事務所のページによれば、AC/DCのHighway To Hellだそうである。何か絶叫しているだけで、全く良くない。ビリーのコンサートでは他人の曲を1曲入れることが定番のようにあったが、そんなことをするぐらいなら、おなじみのレパートリーをやってくれた方がどれほどうれしいかわからない。水を差すとはこのことだ。トイレに近かったので短い時間だったが、この曲の時に席を立つのが正解だった。

18. We Didn't Start The Fire
気を取り直してロックンロール大会の再会だ。他人の曲を1曲挟んで、I Go To Extremes, The River Of Dreams, We Didn't Start The Fireとビリーのレパートリーの中では新しい曲が続いている。私はこの曲はノリノリで大好きなのだが、周りの人は良く知らないといった風に見える。

19. Big Shot
この曲のイントロが始まったときに私は正直残念な気持ちになった。なぜならこの曲は定番のラストナンバーだからだ。19曲目だからラストであってもおかしくはないが、Only The Good Die Youngもやっていないし、You May Be RightもIt's Still Rock And Roll To MeもUptown Girlもやっていないではないか。ロックンロール大会も短過ぎるぞ。ラストのBig shot, Big shotと繰り返すところでは得意のマイクパフォーマンスが出て、これも定番通りのお約束です。

20. It's Still Rock And Roll To Me
しかし終わらなかった。良かった。長いイントロでは会場中がリズムを取る拍手の嵐となった。会場中を興奮のるつぼにする締めのBig Shotで終わらなかったのだから、もう血管もぶち切れんばかりのテンションだった。しかしこの曲をラストにはしにくい。そしてアルバムGrass Housesの曲順とは無関係に、コンサートの曲順としてはIt's Still Rock And Roll To Meが来れば、その次に続くのは「たらちねの」「母」のように、バリーンとガラスが砕け散るのがお約束のはずなのだが。

21. You May Be Right
案の定、ガラスが砕け散るイントロが続いた。会場が一体となってノリノリになったが、スタンド席ではこの最後になっても立ち上がる人はまれであった。定番中の定番ではまだOnly The Good Die Youngをやっていないが、Only The Good Die YoungとPiano Manがアンコールだろうか。

22. Scenes From An Italian Restaurant
You May Be Rightが終わって1度照明が消え、すぐにアンコールを求める拍手の嵐となったが、普通は一息ついてまあ少しばかり客を待たせて、それから出てくると思うのだが、水を飲む暇もなかったのではないかと思うくらいすぐに出てきた。アンコール1曲目。まあアンコールは静かなシブイ曲が良いのかもしれない。この曲は叙事詩な歌詞が好きです。

23. Piano Man
さあ今度こそ本当のオーラスになってしまった。席を立つ人がパラパラ出始めるのだが、この曲を聴かずに帰る人が居るとは信じられない。振り返ると最後尾で立って観ている。ビリーはステージ上で帰ろうかな、ピアノの方に戻ろうかなというジェスチャーをして客を笑わせる。そう、私も最後尾で立っている客もまだ座席に釘付けの客も、ラストナンバーがPiano Manであることはみんな知っている。この曲をやらずには終われないのだ。ハーモニカを首から掛けると大歓声となった。スキヤキ(上を向いて歩こう)のメロディーを入れてからイントロへと入っていった。サビは全部で4回ある。最初の2回はビリーが普通に歌う。3回目ビリーは黙った。が、客は自分たちが歌う番だということにあまり気が付いていなかったようだ。最後の最後、ビリーは耳に手を当てて、客席からの歌声を促すポーズをした。今度は会場中が

Sing us a song, you're the piano man
Sing us a song tonight.
Well, we're all in the mood for a melody,
And you've got us feelin' alright.
と合唱した。とは言ってもそこは日本人。特に後の2行は怪しかった。本当の曲はそこで終わりだ。しかし何時だかのコンサートでは、最後にビリーがもう1回繰り返して、ビリーの歌声の聴き納めができて終わった。だが今回はそれはなかった。この曲をやらずには終われないと書いたが、初めて観た1987年のコンサートではやらなかった。

約2時間、若い頃の自分に返ったと思ったのは決して私だけではあるまい。
帰路もしくは電車の中、公演を観た人たちが感想を述べあっている。
「ビリー太った。」「ビリー頭が薄くなった。」私も同じ印象を受けた。
ビリー57歳。だが歳を取ったのはビリーだけではない。
昔を懐かしんだ我々もである。
しかしビリーの歌声が衰えたと言う人は皆無だった。
ステージ上のビリーは歌声・動き共に衰えているようには見えないが、
新しいアルバムを出す気力・体力はどうなのだろうか。
電車の中である人が言っていた。
「もう隠居したって十分食べていけるだろうに、日本に来てくれるだけでもありがたいよね。」
そうだね。わたしもそう思う。

13曲目Miami 2017が思い出せずに、「ビリー・ジョエル詩集」を開いたと書いた。
すると中から紙が出てきた。
それはこれまでに行ったビリーのコンサートの曲目だった。

紙はなくすかもしれないので備忘録という意味でアップする。

FACE TO FACE / 1998年3月30日 東京ドーム
FACE TO FACE / 1998年3月31日 東京ドーム

この記録は残っていない。
曲目リストはパソコン8年生 AFTER THE BEATLESのページに見つけた。
ただし私は30日と31日の2日間とも観に行っている。

JOURNEY TO THE RIVER OF DREAMS / 1995年1月17日 兵庫県南部地震のため延期
JOURNEY TO THE RIVER OF DREAMS / 1995年1月19日 大阪城ホール

1. No Man's Land
2. Pressure
3. Honesty
4. Prelude / Angry Young Man
5. Allentown
6. Scenes From An Italian Restaurant
7. My Life
8. I Go To Extrremes
9. Shades Of Grey
10. Goodnight Saigon
11. Lullabye
12. The River Of Dreams
13. We Didn't Start The Fire
14. A Hard Days Night
15. It's Still Rock And Roll To Me
16. You May Be Right
17.Only The Good Die Young
18. 不明
19. Piano Man

仕事の関係で大阪に住んでいるときだった。
私は仕事後、そして岐阜の友人が有休を取って一緒に観に行くはずだった。
ところがこの日の朝に兵庫県南部地震が発生した。
友人は先に大阪城ホールに着いて(新幹線は動いていなくて近鉄で来たという)、
2日後19日に延期する(18日は元々公演が予定されていた)との貼り紙を見て帰ってしまった。
もとより電話はつながらない。
私も自分の路線は動いていて、大阪城ホールに着いて貼り紙を見た。
2日後、私は地元なので再度来ることができたが、
友人は2回も有休を取れないとのことで来られなかった。
開演前に、この度の地震被害に対して深い悲しみを覚え寄付をするという趣旨のコメントがあった。
このコメントには通訳が付いていた。
何より会場には5割強しか客が入っていなかった。
ビリーもこの地震に遭っているはずで、
この大阪公演は、ビリーの数ある来日経験の中でも最も記憶に残るものであるに違いない。

BILLY JOEL来日公演 / 1991年1月2日 東京ドーム

1. Storm Front
2. Allentown
3. The Stranger
4. Scenes From An Italian Restaurant
5. Honesty
6. Downeaster "Alexa"
7. Goodnight Saigon
8. I Go To Extremes
9. Pressure
10. My Life
11. Uptown Girl
12. ライオンは起きている
13. An Innocent Man
14. We Didn't Start The Fire
15. It's Still Rock And Roll To Me
16. You May Be Right
17. Only The Good Die Young
18. A Matter Of Trust
19. Big Shot
20. And So It Goes
21. Piano Man

BILLY JOEL来日公演 / 1987年6月18日 国立代々木第一体育館

1. A Matter Of Trust
2. Pressure
3. You're Only Human
4. Honesty
5. The Stranger
6. Allentown
7. My Life
8. Prelude / Angry Young Man
9. Don't Ask Me Why
10. Big Man On Mulberry Street
11. Baby Grand
12. An Innocent Man
13. Longest Time
14. Only The Good Die Young
15. It's Still Rock And Roll To Me
16. Sometimes A Fantasy
17. You May Be Right
18. Uptown Girl
19. Tell Her About It
20. Big Shot

というわけで、
3日前のコンサートから19年半前のコンサートまでを振り返ってしまった。

振り返ってみると今回のコンサートでは、定番でありながらやらなかった曲というのは
以下になると思う。
Only The Good Die Young
Pressure
Uptown Girl
Goodnight Saigon
個人的な意見として定番ではないが聴きたい曲
Sometimes A Fantasy
個人的な意見として1度は聴きたい曲
This Night
The Ballad Of Billy The Kid

次に生ビリーが見られるのはいつのことになるだろうか。
そのとき私は何をやっているだろうか。
この2006年と変わらぬビリー、自分、そして世の中であって欲しい。

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2006.11.05

[書評] 文明崩壊

ジャレド・ダイアモンド:文明崩壊 上・下,草思社,2005

文明崩壊 本書の著者ジャレド・ダイアモンドの「銃・病原菌・鉄」を読んで影響を受け、関連しそうな本を読んできたことはこのブログでも述べてきた。「銃・病原菌・鉄」が出た当時はそれに近い内容を扱った本は少なかったと思うが、その後「銃・病原菌・鉄」に影響を受けたことにより研究が進んだのか、最近は書店にも並ぶようになったと感じていた。しかし世の中が近づいてきたとき、当のジャレド・ダイアモンドはその先に行っていた。
 「銃・病原菌・鉄」が文明のスタートラインから今日までの道のりを描いたのに対し、本書では今日から向かうかもしれない文明の終焉の可能性を示す。本書は大きく分けて現代の社会と過去の社会の2つから、それぞれ5つの社会を取り上げる。過去の社会はいずれも「環境問題」に適応できずに崩壊した社会である。現代の社会もそれぞれに「環境問題」を抱える社会である。過去の社会の崩壊例を見せられた後では、現代の社会の崩壊も絵空事とは思えない。
 「環境問題」とかぎ括弧付きで書いたのは、本書で取り上げられている環境問題とは、昨今の日本社会において流行で取り上げられているような狭い意味での環境問題ではないからである。日本が島国であるのも、日本人が米を主食とするのも、現在アメリカと仲が良く中国と仲が悪いのも、皆日本を形作る本書で言うところの環境である。こういう意味での「環境問題」であるから、将来本書に由来すると言われるような誤解を与えない訳語を使って欲しかった。
 過去の歴史が何かを証明するわけではないが、将来のことを予測するのに過去の例を参照するのは説得力を持つ。そういう意味で、過去の社会を取り上げた第2部は圧巻である。第2部が本書の中核であるし、第2部だけでも1冊の本になると感じる。しかし主題の裏付けのために取り上げた承や転の部分が中核だと言われてしまうのは、結が弱いからではないだろうか。「銃・病原菌・鉄」は過去の話だったので、多少結が甘くても承転で重要な事実が指摘されていれば、それだけで価値があった。しかし本書の主題は将来の話であり、過去の重要な事実もあくまでも前ふりにしか過ぎない。将来に向けてと題した第4部の結びのための前ふりであるのに、読後も前ふりの印象ばかりが残ってしまって、結局著者は何を言いたかったのか心に残らない。個々の事例研究として第一級だと思うが、「銃・病原菌・鉄」ほどの衝撃は感じられない。☆☆☆☆

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2006.09.30

読書の秋

今年の秋ほど読書の秋と感じさせてくれる年もない。

たいていの本は書店でパラパラと中を見て内容を確認してから買うものだが、
例外もある。
それは中身を見るまでもなく、考えるまでもなく、買うと決まっている本だ。
それは事実上、著者や作者で決まっている。

1つには、まず読みかけの話が続いている場合である。
私は、小説は滅多に読まないから、このケースは実は少ない。
その唯二、宮城谷昌光と塩野七生。それぞれの本がどちらも今月出た。
宮城谷 昌光:三国志 第4巻,文藝春秋,2006年9月15日
宮城谷 昌光:三国志 第5巻,文藝春秋,2006年9月30日
塩野 七生:ローマ人の物語IV 賢帝の世紀,新潮社,2006年9月1日
塩野 七生:ローマ人の物語X すべての道はローマに通ず,新潮社,2006年10月1日

そして2つめは、読むと決めている人物の著作である。
以前読んだ本で深い感銘を受け、もうこれは全部読むしかないと決めている。
こちらも2人しか居ない。
具体的には、リチャード・ドーキンス。「利己的な遺伝子」であまりにも有名。
最近の彼のエッセーには少しがっかりしているが、今回はエッセーではない。
リチャード・ドーキンス,祖先の物語 上・下,小学館,2006年9月20日

宮城谷昌光は、全て読んでいるわけではないが、
読むと決めている作家と言ってもよく、2つめにも該当する。

楽しみにしている人物の本がこうも揃った今月そして来月再来月ぐらいまでは、
非常に充実した日々が過ごせるであろう。

ちなみに2つめに該当するもう1人は、ジャレド・ダイアモンドだ。
昨年末に8年ぶりの著作が出た。
8年という待ち時間に比べれば、9ヶ月前もついこの間と言って良い。
ジャレド・ダイヤモンド:文明崩壊 上・下,草思社,2005年12月28日

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2006.05.09

ボリビアの首都ラパスに居ます。

地球の裏側、ボリビアの首都ラパスからアップしました。

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2006.04.10

[書評] 人間ものがたり

ジェイムズ・デイヴィス:人間ものがたり,日本放送出版協会,2005

人間ものがたり 訳者が書いているように、おとなのための世界史教科書という表現がピッタリとくる本である。各章のタイトルの付け方に表されているように、おとなどころかこどもに物語を読んで聞かせているような語り口になっている。世界史というのは、高校生時代に授業を受けた記憶で言えば、時間軸に沿って話が進むがあっちこっちと話が飛んでしまい、全体像がつかめない感じであった。本書は24章に分かれているが、各論の寄せ集めではなく全体を通してのストーリーとして成立している。まさに人間ものがたりである。
 著者は表紙見開きで「わたしたち人類は、なんのかんのと言っても結局は長い時間をかけて、つねによいほうへと進歩してきたのだ」と歴史観を述べている。私はこの著者の考えに全面的に賛成である。よく昔は良かった的なことを言う人が居るが、個人の思い出としてならともかく、社会としてそうだというのであれば、私は断固として反対したい。もし本当にそうなら、あなたはあなたが生きている期間を通じて世の中を悪い方向へ導いてきたのかと問いたい。
 後世の人からあれは間違いだったと言われることがあるにしても、その時点のその人の視点において、みんな世の中を良くしたいと思って行動している。時代,社会を超えて人間ものがたりが書けるのは、この共通する思いが底に流れているからである。☆☆☆☆

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オランダの思い出

Tulip

昨年の夏休みにオランダへ行ったときにチューリップの球根を買ってきた。

冬に植えておいた。
2月に芽が出た。
桜前線が近付くに連れて、つぼみが膨らんできた。
そしてこんなにきれいに咲いた。
昨日天気が良かったので、しみじみ見ながら写真を撮った。

1つの球根から1つの花が咲くのかと思っていたが、
必ずしもそうではないようだ。
複数の花が咲いている球根がある。
少し出遅れているが、2個目のつぼみを付けているのもある。
逆にまだ1つも花を咲かせていないのもある。

球根を買うときに、袋に咲く花の写真が付いていた。
それを見て買ったのだが、全く写真の通りの花が咲いた。
花が咲くってこんなにうれしいとは思わなかった。

オランダに行ったのはチューリップが咲く時期ではなかったが、
家で咲いたチューリップを見て、チューリップの季節のオランダはさぞかし
美しいだろうとオランダの景色を思い出した。

球根はアムステルダムのムント塔のそばにある「シンゲルの花市」で買った。
1袋10個入りで3.5ユーロ。わずか500円。
もしアムステルダムに行くことがあったら、
是非おみやげにチューリップの球根を買って欲しい。空港でも売っている。
日本でまたオランダを楽しめるから。

私は北欧に行くのに最初にオランダに寄ったため、球根は1袋しか買わなかった。
最後に寄ればもっといろんな色の球根を買えたのにと思っている。
球根以外に花の種も買った(こちらは軽い)。
今はまだ土の中。
こちらもきれいに咲くといいけど。

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2006.03.23

[書評] ソリトン,カオス,フラクタル

戸田 盛和:ソリトン,カオス,フラクタル,岩波書店,1999

ソリトン,カオス,フラクタル 全4巻からなる物理読本シリーズの第4巻で、副題は「非線形の世界」。第1巻は古典物理の世界、第2巻は量子力学の世界、第3巻は相対性理論の世界を扱っている。第2巻と第3巻は読んでいない。前3巻は20世紀までの物理学という感じがするが、この非線形の世界を扱った第4巻はこれからの物理学という感じがする。これまでの常識では、複雑な現象というのは複雑な原因に由来すると考えられてきた。しかし近年、単純な法則から複雑な現象が生み出されることが解明されてきた。20世紀から21世紀というこの時代に非線形系の研究が発展してきた背景には、コンピュータの進歩によるところが大きい。本書で紹介されているライフゲームはその1例である。ルールは簡単。コンピュータで簡単に試してみることができる。しかし奥が深い。本書を読んで非線形系の面白さを垣間見ることができれば、関連図書に手を出し、虜になっていく人も居るかもしれない。☆☆☆

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2006.03.12

[書評] 世界文明一万年の歴史

マイケル・クック:世界文明一万年の歴史,柏書房,2005

世界文明一万年の歴史 この地球上に人類がたどった歴史は1つしかない。しかしもう1度同じ条件でやり直したら同じ歴史をたどるのであろうか?大河の流域に文明が栄える。これには必然性がありそうだ。だがその場所に大河があったのは、気まぐれな地球の地殻変動が決めた偶然である。歴史そして現代社会のありようには必然性がどれだけ支配していて、偶然性がどれだけ含まれているのか。ジャレド・ダイアモンドはこのような疑問を持ち、1997年に「銃・病原菌・鉄」著した(日本語訳2000年)。
 本書の著者もこの「銃・病原菌・鉄」に影響を受け、本書を著すに至ったと述べている。原題も「A BRIEF HISTORY OF HUMAN RACE」であり、HUMAN RACEと言うところがダイアモンド、そして私の疑問点と共通していることを端的に表している。本書は「歴史が現在の状態に至ったのはなぜか」という第一部から始まり、第二部が「小大陸」、第三部が「ユーラシア大陸の諸文明」と続き、第四部の「世界の均一化?」で締めくくられる。まさしく「銃・病原菌・鉄」の影響を受け、私の関心の核心に迫りそうな構成である。第一部の疑問の呈し方は期待を持たせたのだが、第二部,第三部が各論になってしまった感じがする。それでも第四部に繋ぐのに必要な要素であれば不満はないのだが、そういうわけでもない。第一部はこの本を書くに至った動機、つまり疑問の提示であるが、最後まで読んでこの疑問が解決しただろうか。そんな気がしない。第一部と第二部以降が別物になってしまっている気がする。
 私としては、著者自らが「銃・病原菌・鉄」に影響を受けたと言い、「世界文明一万年の歴史」という題名の450ページもの本ならば、最低でも4つ星を付ける内容を期待していた。各論を読む本だとしても十分に面白いのだが、期待が大きかっただけに控えめな採点にならざるを得ない。☆☆☆

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2006.01.30

1/27の停車場

何ヶ月ぶりだろうか久しぶりに停車場に行った。

年が明けたぐらいに久しぶりに行きたいなと思っていて、
ホームページからスケジュールを印刷していた。

27日は仕事が外出になることがわかっていたので前から決めていた。
27日を選んだのにはもうひとつ訳がある。
バンドのメンバーが4人編成だったからである。
せこいかもしれないが、同じ金を払ってみるなら気に入った演奏を見たい。
3人以下が悪いとは言わないが、
やはりホーン+リズムセクションが揃うと演奏の厚みが違う。
しかしギャラの問題からだと思うが、4人編成の日は少ないのである。

9時10分頃着いた。第1セットを演っていた。
後ろの席はたっぷり空いていたが、団体客の予定があるのか
相席で一番前の席になった。アルト奏者の目の前である。
女性のアルトにピアノ,ベース,ドラムス。
曲の途中だったが、知らない曲だと思っていた。
そしたら最後にテーマに戻ったらグルービン・ハイだった。
途中はずっとアドリブ(少なくともアレンジ)だったということだ。
第1セットはこのグルービン・ハイで終わりだった。

9時過ぎに着いたのだから元々第2セットが目当てだ。
アルトは演奏中ずっと目をつむっている。
長い音を吹くときなどたまに目をつむるのは何となくわかるが、
つむりっぱなしというのはどうかなと思った。
目がパチッとしていてお人形さんみたいなかわいい方だったので
なおさら残念に思った。
ピアニストは表情まで演奏の一部という感じで、愛想良く弾いていた。
第2セットは知っている曲はなかった。

今までは1セットをフルに聴いたらそこで帰っていた。
休憩時間は約30分なのだが間が持たないからだ。
しかし今日は第3セットも聴きたくて仕方なかった。
第3セットの3曲目はアルト奏者のオリジナルの曲だそうだ。
この店でメンバーオリジナルの曲を聴いたのは
(少なくともMCがそう説明したのは)初めてだった。
4曲目ラストナンバーは、セント・トーマスだった。
やはり知っている曲はいい。
どこからがテーマでどこからがアドリブかがわかるし、
途中にしてもコード進行やときおり入るテーマフレーズに
うなずきながら聴いていられる。

これで終わりのはずだったが、
お客さんの中に今日で定年退職という人が居て、
ママがもう1曲と言って、リクエストを聞いていた。
リクエストがすっと出てこなかったので、少ししてピアニストが
(メジャーなところで)A列車で行こうのイントロを弾きだした。
途端にリクエストが出て(私は知らない曲だった)、イントロが止み、
A列車で行こうが始まると思っていたアルト,ベース,ドラムス
そして客席はズッコケた。
一番ズッコケたのは多分イントロを弾いていたピアノだ。

アルトも良かったが今日のメンバーではピアノが一番良かった。
第3セット+リクエストが終わったのは23:40頃だった。
1,000円のチップを入れて家路についた。
何にしても4人編成は良い。
来月以降も4人編成で金曜日なら是非行こう。

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«歴史に残る大名盤だ(矢野沙織: PARKER'S MOOD CD評)